福島県の薬剤師のブログ

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ブタの心臓を移植?!

先日テレビで放送された「豚の心臓を人間に移植した」という内容の番組。

 

www.ntv.co.jp

そしてその移植を受けた人が亡くなったというニュースを観ました。

www.nikkei.com

豚の心臓を移植するなんて、という自分的にも衝撃であったのと知らないことが多いということもあり調べたことを備忘録として書いておこうと思います。

 

まず臓器移植とは、公益社団法人日本臓器移植ネットワークによると

臓器移植とは、重い病気や事故などにより臓器の機能が低下した人に、他者の健康な臓器と取り替えて機能を回復させる医療です。第三者の善意による臓器の提供がなければ成り立ちません。日本で臓器の移植を希望して待機している方は、およそ15,000人です。それに対して移植を受けられる方は、年間およそ400人です。

現在では薬物治療で症状を軽減して寿命を長くすることができていますが、根本的に薬では病気は治せないのでいずれは薬が効かなくなってきてしまうことがあります。このような方は心臓移植を受ける必要があるようです。

移植に関してはいろいろな問題がありますが、ここでは触れないでおきます。

そしてなぜブタの心臓なのか?というところですが、同じ人間の心臓を移植してもらいたいに決まっていますが、上述の通り移植を希望して待機している人の数に比べて受けられる人はごくわずかです。待期期間も平均して3年以上は待たないといけないようです。

このブタの心臓を移植してもらったデービッドさんの場合、体の状態がかなり悪く生存確率はかなり低いため人間の心臓を移植することは拒否されてしまった。

 

ではなぜブタなのか?

ブタの心臓と人間の心臓が似ているという理由もありますが、

移植する臓器を必要数用意するにはその動物を必要数繁殖させる必要があります。サルやゴリラなどの霊長類は繁殖させるのが難しい。その点ブタであれば年に2回出産できるし、1回に10頭ほどコブタを産み、コブタも1年しないうちに出産できるようになるという点。養豚業もあって飼育技術も発達している等メリットが多いらしい。

 

しかし人間の心臓を移植しても拒絶反応が起こるのに、ブタの心臓ならなお一層ひどい拒絶反応が起こりそうだが、そこをクリアするために人間の免疫システムが何に反応するのかを調べて、それを作り出している遺伝子を組み換えて免疫システムが反応しないようなブタを移植用のブタとして作り上げました。

 

そのようなブタの心臓を移植してもらったデービッドさんは拒絶反応もなく生きながらえたが、2か月後に亡くなってしまった。原因究明はこれから行われて将来同じような病に苦しむ人たちを大勢救ってくれることになるでしょう。